旅する作家の道具箱 第5回 入力の効率化ATOKを使おう

日本語を使う以上、手書きで言う筆を選ぶという行為に近いのがIME、つまり漢字変換ソフトを選ぶという行為だ。何しろ漢字変換に時間がかかれば、執筆に時間がかかる。漢字変換に頭を使えば、大事な作品に頭が使えなくなる。

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まァ、多少大袈裟に書いてはいるけれど、それくらいIMEは重要だと思う。で、現時点でのMacOSXでの選択肢は……

  • ことえり - MacOSXに標準でついているIME。Windowsの標準IMEほどダメではないと思うが、やっぱり不足を感じる。
  • Google日本語入力 - これは業界的には新参者のIMEだ。名前の通り、Googleが開発しているわけで、これはつまりGoogleが知る限りのWebサイトや検索ワード情報を使い、また培ってきた文章解析技術を元に漢字変換の世界に参入してきたわけだ。漢字変換能力もことえりより随分よく感じるし、いくつか他のIMEでは見かけない機能も盛り込まれている(例:zkと入力すると、上矢印になる、など)。これが実は非常に使い勝手が良く、実は私はずっとこれを使っていた。物書きじゃなければ、または物書きでも、十分に使えるレベルだと思う。
  • ATOK - 言わずと知れたIMEに力を注いでいる会社のIME。漢字変換の能力は非常に高く。長く文章をタイプして、一気に変換をすると、文法なども加味して、非常に的確に変換してくれる。有名な「貴社の記者が汽車で帰社する」も一発だ。

というわけで、結論として私は少し前までGoogle日本語入力を使っていて、今はATOKを使っている。わざわざ大金を払ってATOKに移行した理由を語ってみよう。

漢字変換能力の高さ

これはまずすぐに実感できた。もちろん使い始めはユーザ辞書が貧弱で「慣れたIMEの方がいいな」と思いがちだが、少し使っているとIMEが学習し、みるみる自分の入力についてきてくれる気がする。

辞書機能

実はこれが超目玉機能だと思っている。そして「旅する作家」という立場で考えた時、圧倒的な魅力なのだ。この連載の第1回でも書いたが、作家の道具の中で持ち歩けない、旅で困るのが辞書だ。本来であれば、会社別の複数の辞書に加え、国語辞典以外にも類語辞典などが欲しいが、どうもパソコンで使いやすい辞書がない。

仕方なしに最初はiPod touchに大辞林と角川類語新辞典をインストールして、iPodを辞書端末として使っていたが、軽快にタイプしているときに両手をキーボードから離してiPodを触るという行為がいかにも煩わしかった(でも辞書をインストールしたことは後悔してない)。

このATOKは追加購入が必要だが大辞林や広辞苑、または類語辞典といった辞書を買うことで、漢字変換の最中に意味を調べることができるのだ。
サンプル画面を用意してみた。このように、「たとえば」と入力し、変換を確定する前にコントロールキー+wと打つと、大辞林の結果が表示される。

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同様にコントロール+aで類語辞典(これも別売)が表示されるので、他の言葉を探している場合などにテキストエディタから離れることなく類語を探し、その類語に対する大辞林の結果を見ることができる。

間違った日本語の指摘機能

これは「このために欲しい」というほどのものではないけれど、補助的にあると安心感があるかもしれない。

ATOKは間違った日本語や、好ましくない日本語を指摘しくれる。たとえば”の”が続くような文章「この車の中のシートの上に鞄がある」といった文章をタイプすると、「”の”の連続」と注意してくれる。これくらいの文章はIMEに注意されなくても、きれいに書きたいものだが、つい見落としてしまった時などにありがたい補助だ。または敬語・ら抜き言葉なども注意してくれるので、急いでいて漏らしてしまった、なんてときに助けてくれる。

使いこなすために意識するたった1つのこと

さて、ここまでATOKの魅力について書いたが、文章を書く上での使いこなしについて触れたい。ほとんどはATOKに限らない内容だが、文章入力・漢字変換という煩わしい行為を少しでも滑らかにこなすために、自分が意識していることだ。

それは「ホームポジションから離れないこと」に尽きる。

マウスを使わないのは当然だが、それ以外にもホームポジションから遠いアクションは極力使わない。遠いポジションとは何か、と言うとdeleteキーと矢印キーだ。この2つを使わないようにすると、タイピングは随分と早くなる。これはプログラマーとして鍛えたことなので、信じてくれて良いと思う。

もう少し具体的に書くと、次の操作を極めるといい。

  • Ctrl + f - 1文字進む
  • Ctrl + b - 1文字戻る
  • Ctrl + p - 前の行へ
  • Ctrl + n - 次の行へ

さらに次の操作を覚えると早くなる

  • Ctrl + a - 行頭へ
  • Ctrl + e - 行末へ
  • Ctrl + k - カーソルより後ろを削除して、特殊なクリップボードへ保存
  • Ctrl + y - ”Ctrl + k”でクリップした文字を貼り付け
  • Ctrl + h - deleteキーと同等

また漢字変換については概ね以下を覚えれば良い

  • space - 次の候補へ
  • shift + space - 前の候補へ
  • option + space - 候補を次のページへ
  • option + shift + space - 候補を前のページへ

ちなみに、ここに挙げていないショートカットキーでも重要なものがたくさんあるので、時々気分転換にネットで調べてみたり、ヘルプを見てみると良いだろう。

まとめ

大雑把に言えば

  • ATOKを使おう
  • ATOKのオプション辞書も使おう
  • ショートカットキーも使おう

ということだ。実はATOKは結構高価なのだが、その価値はあると思う。特に辞書については紙で買っても高いわけで、「旅する作家」というカテゴリに近い人はATOK辞書に賭けてみるのも、いいのではないだろうか?

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