ブックオフ・古書店、雑感

随分前から付き合いのある作家さんがブログでブックオフについて呟いているのを見て、改めてブックオフについて考えてみた。私はマーケティングの専門家でもなければ、業界の構造を把握した専門家でもないので、何か結論を出す気持ちは毛頭ないが、何となく怖いもの見たさというか、出しゃばり根性で自分なりの考えを書いてみたい。

ブックオフと言えば、皆さんご存じの古本屋だ。ちょっと前まで古本屋といえば、それはそれは暗い埃っぽい店を指す言葉だったと思うのだけど、今はブックオフのおかげもあって、明るく楽しいみんなのお店というイメージが定着した。

さて、ブックオフに対する大きく2つの視点からの意見を見てみよう。

<出版社・作家など提供サイド>

  • 自分たちが作った本なのに、自分たちにお金が入らないなんてけしからん! - そりゃそうだ、と頷く人も多いはず。特に作家というのは個人であって、売り上げ1つで貧乏にも富豪にもなる。会社という外壁に守られることもないので「自分が書いた本を売買しているのに、ただでさえ大きくない10%そこらの印税さえ入らないとは!!」と嘆く気持ちも分かるだろう。
  • 実は広告塔になってるかも - 例えば自分の場合を思い返してみる。「本を読みたいけど、何を読むか思いつかない」という時はブックオフの100円コーナーを漁ることがある。ここで買うのは「普段読まないけど、興味がある作家・作品」だ。新品で買う場合は無意識に知っている作家、強く勧められた本、など大外れしない本を買おうとする。一方で古書の場合は多少の冒険をする。それが面白ければ同じ作家の別の本を新品で買うこともあろうと思う。つまりお試し本、味見、試読、とでもいったような意味で広告塔になっているという見方もできる。

<読者>

  • とにかく安く本が買える - これはつまり、お試しで知らない作家の本を読んだり、普段なら読まない本を読んでみることができるというわけだ。もちろん大好きな作家の本を安価で手に入れることもできるわけで、このあたりで出版サイドとの損得勘定に歪みがでる。
  • 本を売ることができる - もちろん古本屋なので、読み終わった本を買ってくれるわけだ。すると実質としては購入価格と売価の差し引きが実際の消費者の支払い額となり、結果やはり消費者が得をする。ただしこの場合は(新刊本を売っている限り)出版サイドに痛くない。
  • 今の流行が見える - 新刊本の売り場は「出版社か書店の売りたい本」が並ぶのに対して、古書店は理由はどうあれ、「消費者が読んだ本」が並ぶ。売れてる本はたくさん古本としても並ぶし、売れない本は古書店にさえ並ばない。つまり、一定の(という言い方が正しいかはともかくとして)読者がいることが保証された本が並ぶとも言える。そういう意味で「試し買い」に良い環境だったりする。

<総論>
というわけで、読者にとっては良いことばかり、出版サイドとしては良くも悪くも取れるブックオフ。時々見かける意見としては「ブックオフで試し買いして、結局は新しい読者になる人もいるんだから、いいじゃない」というもの。

この意見には小声ながら反対したい。出版社としては自分の商売なのだから、マーケティング的な工夫や戦略は自分で考えるだろう。横から別の会社が出てきてやることではない。

じゃぁ、どうすればよいか? 日本中の古本屋を潰すか? 否。それも違うと思う。ただシンプルに、売り上げから少しだけ出版社に払うことはできないだろうか? 割合が小さくても、お金が入るなら古本が流通することは出版社としても意味があることになる。

ちなみに古書店とはいわず、ブックオフを名指しにした記事にしているのは大手だから。あまりに大きくなってしまったから考えて欲しいと思うという気持ちだ。実はブックオフ自体は1億円を著作者(という名目でいくつかの団体)へ支払っている。ずいぶん少ないな、という印象と、果たして受け取った団体は出版社、ひいては作家へと還元しているだろうか? それが見えないので、勝手ながら「印税が入らない」という言い方をしている。

参考サイト:

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