日本人とは血か心か? ミスユニバース日本代表を通して日本人の理想像を考える

2015年ミスユニバース日本代表の宮本エリアナさんが浮き彫りにした日本人のアイデンティティ問題を通して、“日本人” とはなにか、考えてみたい。

日本代表は日本代表か?

宮本エリアナさんが2015年ミスユニバース日本代表に選ばれたことで、ある種の批判が起こった。彼女は日本人の母と、アフリカ系アメリカ人の父を持つ、いわゆるハーフだ。外見はいわゆる日本人的とは言えないだろう。

そこで起きた批判が「この日本代表は、日本代表としてふさわしいか?」だ。ハーフである。見た目も日本人的でない。そんな女性がミスユニバース日本代表でいいのか? 日本代表という看板にふさわしいのか? もっと日本人的な人がいるのではないか? 大和撫子にふさわしい女性がいるのではないか?

そういう批判がおきた。

純粋な日本人と半分の日本人

日本人は「日本人」に厳しい。

日本人とはなにか? 法律的には『日本国籍を有する人』といったところだろうが、国民感情はそうではない。やはり日本人の両親を持ち、日本で生まれ育った人を日本人と呼びたいのだろう。

これを書いているわたしもハーフだ。日本人とアメリカ人の血が、半分ずつ入っている。血筋主義的に考えれば「日本人 / 2(日本人)」である。しかし生まれも育ちも日本で、精神的な文化圏は100%日本的だ。食生活も今どきの日本人だし、好きな酒はといわれれば、日本酒だ。一生食べるなら、絶対和食がいい。外国人と喋っていて「馴染めないな」とさえ思うくらい日本人的だ。

それでも、世間の純粋な日本人から見れば、やっぱり半分だけ日本人なのだ。日本人には純粋な日本人というくくりがある。そのくくりを実感している人は少ない。いわゆる純粋な日本人が、純粋でない日本人を差別している気持ちはないと思う。悪意だってないだろう。でも心のどこかで線を引いている。

日系人は日本人か?

こんなことを聞いたことがある。たしかブラジルの日系人の言葉だ。

「旅行でやってきた日本人が、日系人である私たちを同胞だと思って、過剰に寄ってくるが、私たちは日本人ではないので、そこまで仲間意識を持てない」

日本人は日本で生まれ育ったハーフを外国人扱いするが、生まれも育ちも外国で、日本人の血を引き継いだ日系人は日本人として仲間意識を持つのだ。

文化圏より血を重要視する傾向がある。

これからの日本人

なんと現在日本で生まれるハーフの割合は2%らしい! これはわたしとしては驚くべき数字だ。100人に2人。50人に1人はハーフである。クラスに1人はハーフ、という時代はすぐそこだ。

そうなったとき、日本人とは何かがまた問われる。血の純粋さを日本人だと思うと、純粋さは損なわれたとしか考えられない。そして薄まっていく日本を憂うことしかできなくなる。古き良き日本は消えて、何か別のものが日本を浸食していくような絵が浮かぶ。

だからこそ、もっともっと根底にある「日本人の概念」を考え直す必要がある。本当に守るべき物は血か? 文化か? わたしは文化だと思う。あるいは哲学。理念。倫理。モラル。常識。世界が美しいと言ってくれる日本は、顔じゃない。

ゴミが落ちていないニッポン。礼儀正しいニッポン。時間を守るニッポン。和食のニッポン。そういうものを大事にしなければならない。少なくとも「日本を代表しようと、健気にがんばる20歳の女性を、血が半分だという理由で、批判すること」は美しい日本人像からはかけ離れている。

蛇足だが、わたしは「批判すること」を否定しているのではない。批判はいい。だけど生まれながらに持った血を批判しても何も生まれない。

日本が誇る日本人像とはなにか? 大和撫子とはなにか? そういうものが今問われていると思う。

参考

日本の「ハーフ」差別に外国メディアが批判 ミス・ユニバースの宮本エリアナさん問題
'I've been called n****r and had trash thrown at me': First mixed race Miss Japan hits out at the 'spasmodic vomit of racial abuse' she's suffered because father is African-American
Miss Universe Japan Faces Criticism That She Is Not Japanese Enough

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