幸せになりたきゃ万年筆を買いなさい 

幸せのカタチは十人十色。だけど、その中にはある種の傾向があると思う。試しに、騙されたと思って万年筆を使ってみてほしい。文具マニアじゃなくても幸せになれるから……。

わたしは万年筆が大好きだ

わたしが使っているペリカンのM800。一生使うと思う。

最初に白状しておくが、わたしは万年筆が大好きだ。かといってコレクターのようにたくさん持っているわけではない。持っているのは2本だけ。

  • ラミーのサファリ
  • ペリカンのM800

万年筆好きにとっては定番だけど、興味ない人にはまったく何のことか分からないと思う。分からなくても問題ない。

今日の話は「万年筆に興味がなくても、万年筆を買えば幸せになるよ」という極論なのだ。もしコレを読んで万年筆を買った人がいたら、すごくうれしい。

幸せとは何か?

ビジネスで成功とか、恋人ができるとか、金持ちになるとか、いろんな幸せの要因があると思うけど、行き着く先は割とみんな同じだと思う。それは

普通のことを、ちゃんと丁寧にできること

例えばわたしが幸せを感じる瞬間を挙げてみる。

  • コーヒーを淹れる時間
  • そよ風が当たる暖かい場所で読書している時間
  • 日記を書いている時間

もし今、「全然毎日が楽しくない」という人。特に、大きな理由はないけど幸せではないという人は、朝、少し早く起きて、丁寧にコーヒーを淹れてみるのをオススメしたい。インスタントでもなく、ボタンひとつで作るコーヒーメーカーでもなく、沸かしたお湯を自分でフィルターに注ぐタイプのコーヒーを……。

「作り方なんて何でもいいじゃん」

と思うかもしれないけど、騙されたと思ってやってみてほしい。時間はかかるけど、それがいい。

美味しいコーヒーを作るために、まずはお湯をちょっと垂らして、コーヒーを蒸らす。そしてゆっくりゆっくりと注いでいく。できれば背筋を伸ばして、余計なことを考えず、ただお湯の動きと香りにだけ注意を向ける。

少しずつ香りが広がる。毎日やっていると、フィルターのお湯の変化が分かるようになる。注いでいる途中で泡が様子を変える。それでお湯を足すのをやめるタイミングが分かるようになる。

続けてみると分かると思う。余計なことを考えない、この時間が幸せなんだな、と。1日を通して嫌なことも沢山あるだろうけど、また次の日の朝にこれをやる。ちょっと幸せになる。その繰り返し。小さいけど毎日やるから、毎日少し幸せになる。

で、万年筆

コーヒーを淹れるっていうのはただの「例」。こういう、毎日やることをちょっと丁寧にやること。これが幸せのコツなんだと思う。年に1回の海外旅行とかは毎日を幸せにはしてくれない(それを目標にするから仕事が頑張れる、というのはあるけど)。

万年筆の話に戻ろう。

試しに万年筆を買ってみてほしい。高いのがいいとは言わないけど、安さで選ばないで欲しい。ちゃんとした文具屋さんで、試し書きをして、「自分に合う1本」をゆっくり探す。そのうち「これだ!」というやつに出会うはず。

そうすると、きっとあなたは思う——

「何に使おうか?」

会社で万年筆を使うのはなんだか気恥ずかしい……じゃ、家で使うか……でも家で書きものなんてしないし……。

「日記だ!」

たぶん、ほとんどの人が日記を始める。万年筆を使いたくて日記を始める。それでいいんです。書き味を楽しむために書けばいい。内容は何でもいい。今日あったことを書き連ねればいい。毎日淹れるコーヒーのことを書いてもいい。

しばらく続けてみると、この「丁寧に日記を書く」という行為は、「丁寧にコーヒーを淹れる」というのと凄く近いことに気が付くと思う。無心になる。ただただ「今」に集中できる。過去も未来も忘れて、万年筆の書き味、自分の筆跡、流れ出るインク……。そういうものに集中できる。

万年筆の筆跡というのは一定ではない。ペンの角度、スピード、そういうものによって変化する。これもコーヒーと同じ。淹れ方によって、味や香りが変わるように、書き方によって筆跡が変わる。だから「今の書き味」「今の筆跡」に集中する。大事なことはこれ。

瞑想に近い行為

瞑想が一部で流行っている。わたしも十日にわたりヴィパッサナ瞑想というのを修行したことがある。ヴィパッサナ瞑想では自分の身体に起こる変化を観察し続ける。他にも自分の呼吸を観察し続ける瞑想法もある。とにかく小さなことを、ジーッと観察し集中する。そうすると集中力が高まったり、リラックスしたりできる。

コーヒーを淹れたり、日記を書くというのは、これに近いと思う。目の前にある、利害関係がない小さなことに集中する。こだわる。そのことだけを考える。“無心” ってこういうことだと思う。

実は何でもいい

万年筆でも、コーヒーでも、他の何でもいい。できれば……

  1. 「今」に集中できて
  2. ほぼ毎日やることで
  3. 勝ち負けとか関係なくて
  4. インプットが少ない行為

であることが理想。料理なんていいだろう。掃除もいい。洋服を畳むとか、靴を磨くみたいな行為もいい。こうやって考えてみると家事全般はちゃんとやると凄く楽しい。だから「家事が好き」という人が結構いるのは頷ける。

今、なんだか毎日セカセカして、つまんなくて、幸せからはるか遠くにいるような気がするなら、万年筆を買ってみよう。

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