【書評】本棚にもルールがある——あなたの本は社会人としてまっとうなものか?

『本棚にもルールがある』は単純な本の整理術ではない。ましてやオシャレな本棚を作るための本でもない。これはひとえに読書家の読書家としての姿勢を問う本なのだ。なぜ本を読むのか? どういう本を読めばいいのか? 読んだ本は捨てるのか? とっておくのか? 読書家ならば必ずぶつかる問題をこの本を解決してくれる。

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著者はまず読書家は3つの本棚を持つべきだという。

  1. 新鮮な本棚
  2. メインの本棚
  3. タワーの本棚

新鮮な本棚は「これから読む本、今読んでいる本を置く場所」。メインの本棚は普通誰でも想像する本棚を指す。読み終わって、とっておきたい本を置く場所である。そしてタワーの本棚というのは資料置き場。辞書や図鑑などがこれにあたる。

この本ではかなりのページを割いてメインの本棚について語ることになる。本棚には余白がなければ人は成長しない。かならずジャンルごとに本棚の中を整理する。そういったルール(というよりも信念)が挙げられていくのだが、その中で心に刺さった文章はこれだ。

「サイエンス」「歴史」「経済」の入っていない本棚は、社会人として作ってはいけない

わたしはこれまで好きな本を読んできた。自分がどういうジャンルの本を読むか、客観的に考えたことはない。サイエンス系にはまる時期もあれば、歴史にはまる時期もある。だけど、それを自分で認識したことはない。自然と好きなものを読んでいるうちにそうなったと言うだけだ。

この本に従うと、これはもっと体型だった読書体験を生み出す。本棚には必ずサイエンス・歴史・経済などのエリアがある。本棚は必ず定期的にチェックして、入れ替わりがないエリアの本は「最近サボっているジャンル」であるとわかる。またその既読本の前に、同じジャンルの未読本を置いておく。そうすると、いろんなことが分かる。

「最近、サイエンスの本を読んでないな」
「サイエンスの未読本がないなァ」

と書くと「別に学者じゃないんだから、サイエンスなんて読まないよ」という意見もあろうかと思う。なにも専門的な学術書を読まなきゃいけないわけじゃない。自分の知識に合わせた本を読めばいい。本は知識を生む。知識は会話の役にも立つし、感性も磨く。

著者の成毛眞氏の経歴を見ると、これが決していい加減なものではないことがわかる。彼の経歴のほんの一部を紹介しよう。36歳でマイクロソフト株式会社の代表取締役社長を務め、投資コンサルティング会社を設立。書評サイト「HONZ」を開設。スルガ銀行社外取締役。と、凄い経歴の人である。

読書という体験を遊びとか暇つぶしではなく、こうして客観的に観察し、磨き上げていくという感覚。それなりの読書家だと自負していたつもりだが、がつんと頭を打たれた思いがした。

この本を読んだあと、自分の本棚を見つめた人も多いだろう。慌ててサイエンス本を買い、慣れない経済本に手を伸ばした人もいるだろう。そういう人はこれからきっと良い読書体験をするのだろうと思う。

読んで良かった。とにかくそう思う本である。

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