ネットの意見がみんなの共通意見だと思うと大間違い パーソナライズされた情報との距離を置こう

今やインターネットは “パーソナライズ” が当たり前。あなた好みのニュースが配信され、あなた好みの検索結果が表示される。それが便利なことのように語られることが多いし、企業はそれを革新的で便利だと誇らしげに宣伝しています。でも本当にそうなのでしょうか? 上手な付き合い方をするにはどうしたらいいのでしょうか? わたしなりのパーソナライズとの距離感を書いてみます。

パーソナライズとは何か

辞書的な意味は「…を個々(の好み)に合ったものにする(ウィズダム英和辞典より)」であり、それを今のインターネットに当てはめて書くと

「あなた好みのニュースやウェブサイトをお見せします」

という意味になる。なんと言っても「グノシー」あたりが分かりやすい例だろう。グノシーとは

ユーザーの興味にあった記事を配信してくれるWebサービス/iPhoneアプリ。
出典:Hatena Keyword

であり、ニュースアプリとかキュレーションサービスと呼ばれ、なにかと話題になる。仕組みはあなたのアプリ上での動きが記録され、あなたの好みが収集され、それが翌日以降に配信されるニュース選択の条件になるというもの。

つまり「かわいい猫の写真記事」を頻繁に見ていると、かわいい猫の写真がたくさん配信されるということです。

パーソナライズはネット中に

こういった「パーソナライズ」をウリにしたサービス以外にも、ユーザが日常的に使っているGoogle検索やFacebookなどもパーソナライズされています。

例えば下の写真はわたしがGoogleで「世界一周」で検索した結果です。

一方で次がパーソナライズされていない結果です(この方法は後ほどご説明します)。

見比べて欲しいのが、1枚目の赤枠です。こちらは私が運営しているブログの紹介です。そう、パーソナライズされた結果では「わたしのブログが上位10記事のうち2記事を占めている」のに対して、パーソナライズされていない結果では1つも現れません……。

結果がまったく異なります。パーソナライズのことを知らずに、友だちに「私のブログが検索で上位に表示されるから見てよ」と伝えても、きっと相手は困惑してしまうでしょう。同じ検索をしているのに結果が違うのですから……。

昔のGoogle検索はみんな共通で、わたしもよく「○○で検索して3件目を見てよ」と人に伝えていたものですが、それはもうできません。

それはともかく、パーソナライズされていると何が問題なのでしょうか?

知らぬところでパーソナライズされる怖さ

グノシーのように「パーソナライズされたニュースを配信します」ということをウリにしているサービスはともかく、Google検索のように知らぬうちにパーソナライズされているサービスは大きな問題があります。

それは「今見ているものが世間の共通見解だと思ってしまう」ということ。

先ほどの例を使えば「世界一周というキーワードで私のサイトが上位にいる」とうことを世間共通だと思ってしまうことです。これは本当に危険なことです。

例えば集団的自衛権についてよく知らないAくんを例に見てみます。

Aくんは集団的自衛権についはよく知りません。でも尊敬する会社の先輩が「あれは憲法違反だ。とんでもない話だよ」と言っていたので、漠然と「よくないことで、違反らしいなァ」くらいに思っています。Googleで検索して、結果を眺めていると「集団的自衛権は違憲」とか「集団的自衛権で戦争が始まる」といった、「反対派」の記事がいくつか見つかったので開いてみます。

読んでいるうちに「なるほどなぁ」と納得しつつも、「もっといろんな情報を見てみないと」と前向きなAくん。翌日また検索してみます。すると反対派の意見ばかり。そこで思います。

Aくん「なんだよ、政治家は集団的自衛権を認めようとしているけど、世間じゃみーんな反対してるじゃないか! 政治家は民意無視のとんでもない連中だ!」

この例で、わかりますね? パーソナライズされていく、ということは「自分にとって耳障りのいい情報」ばかりが目の前に提示されていくということです。

昔だったら、ちょっと検索して、結果を眺めているだけで、みんながどういう意見を発信しているか、なんとなく分かったものですが、いまはダメです。あなた好みの情報が並んでしまいます。

パーソナライズされたものとどう付き合うか?

つまらない結論だと思われるかもしれませんが、ニュースに関してはまず新聞を読むのが1番。

新聞ってのはそもそもが偏っています。いわゆる右派左派といった分け方をされますね。だから新聞も偏った2紙を読むようにするとなおいいです。わたしは1紙をメインで読み、2紙目は真逆の立場をとる会社のものザッと眺めます。

そしてパーソナライズされたニュースアプリ(グノシーなど)は、暇つぶしと割り切っています。読まないわけではありませんが、あくまで新聞を見たあとですね。

また検索については昔からGoogle検索を愛用しているので、それを変えるつもりはありません。しかし悪あがきとしてふたつのブラウザを使い分けています。

  • Safari - パーソナライズされた検索
  • Chrome - パーソナライズされていない検索

参考:Googleのパーソナライズ検索を無効にする方法

ちなみにGoogleはログアウトしても、検索をパーソナライズしようとします。

Today we're helping people get better search results by extending Personalized Search to signed-out users worldwide
(訳:ログアウトしているユーザに対してもパーソナライズサーチ機能を適用することで、よりよい検索をみなさんに提供できるようになりました)
出典:Personalized Search for everyone

なんのためのログアウトなんだか……。

まぁ、とにかく……、メインで使っているのはSafariですが、ニュース系の情報収集や、なにかにマジメに使うための検索はChromeでやります。具体的に言うと「映画のあらすじが見たい」とかそんな内容ならSafariで検索しますが、「集団的自衛権がどうのこうの」と情報収集したいときはChromeを使います。

と言いつつ、最近はパーソナライズされていない検索を積極的に使うようにはしていますがね。

大切なことは「今見ているものはパーソナライズされたものか?」を理解することです。

パーソナライズは悪じゃない

と書いていると、わたしがパーソナライズされたものは悪である、と言いたい用ですが、そうではありません。ある意味では便利なんです。例えばレシピを検索するようなとき、わたしがよくクックパッドを開く。そうするとGoogle検索が、クックパッドを上位に上げてくれたりする。

これは便利な例です。

くどいようですが、自分が今使っているのがパーソナライズされたものなのか? 世間一般で共有されている公共性が高いものなのか? それを知っているかどうかが重要です。

ネットの世界は「公共性が高く、開かれている」と思われがちですが、実は非常に閉じており、自分が作ったスクラップブックを見ているようなものかもしれないのです。自分にとって都合のいい物だけが並んでいるならば、それは遊びとしてはいいけど、それ以上にはならない。

上手に使いたいものです。

-----------------------
連載企画のご紹介です。
原稿用紙1枚の物語 - 原稿用紙1枚で小さな物語をお届けします(毎日更新)
世界旅小説 - 2年かけて回った世界の国々を舞台にした読み切り短編小説の連載です(不定期更新)
ブログランキング・にほんブログ村へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です