【書評】インタビュー術!——インタビューは思ったよりも深く広いんだ

ちょっとした興味本位で手を出した『インタビュー術!(永江朗)』が、“インタビュー” というものの深さと美しさを教えてくれた。これを読んでからは、あらゆる媒体のインタビュー形式の記事に対して強い興味をもつようになるだろう。

インタビューは虚構だ

著者は言う。

インタビューとは虚構である。現実をありのままに伝えているかのように見えるテレビやラジオのインタビューでも、収録された会話のなかから取捨選択して放送するのだから、やっぱり虚構だ。

インタビューという形式の記事を見ると、まるで “事実” を見たような気がする。言い換えると “素材” をそのまま見たような思いがしていた。たとえば政治家のインタビューを見れば、その政治家の「生の声を聞いた」と思ってしまう。

しかし著者は「虚構だ」と言い切る。この本を通してそれを実感した。「虚構だから無意味だ」ということではない。むしろインタビューはインタビュアーの熱い思いが込められた創作物なのだ。

編集や構成は恣意的に行われる。

その「恣意的」な部分にインタビューのおもしろさがある。つまりインタビューも素材ではなく、れっきとした料理なのだ。

インタビューの読み方

この本を読み終えて、まっさきに「インタビューっておもしろい」と思った。それがこの本をすすめる理由だ。途中まではインタビューのノウハウ的な内容が続く。しかし第3章は違う。そのタイトルも「インタビューはこう読め」だ。

この章では過去のインタビュー形式の名著を挙げながら、インタビューのおもしろさや、インタビュアーの意気込みが語られる。各インタビュアーがあの手この手でおもしろいインタビュー記事や著書を作り上げていく。その読み方を学ぶことができる。

インタビューが行われるとき、そこには必ず目的がある。話し手は自分の作品を紹介しようとしているかもしれないが、インタビュアーは何かもっと深いものを聞き出そうとしているときがある。言葉を選び、それとなく誘導し、ときに相手に自由に話させることで、おもしろいものを引き出そうとする。

インタビューというのは創作物なのだ。だからおもしろい。

インタビューは文学だ

今までなにげなくインタビューを読んでいた人は、この本を読んで思い直して欲しい。インタビューという手法を用いた文学なのだ。深みもあれば、インタビュアーの意図もあり、話し手の意図もあり、編集の意図もあり、それらが交錯し合いながら、織りなすハーモニーがあるはずだ。

これからインタビュー記事を読むとき、今までよりも少しだけインタビュアーの存在を気にしながら読めるようになると思う。

それがこの本の成果だ。

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