Kindle本は相続できないという悲しさに直面した

数年前に祖父が亡くなりました。彼が残した本が私にとって大きな意味を持つことに気が付きました。しかし彼の残した本の大半は電子書籍。一部残されていた紙の本との差を見せつけられた思いがして、自分はやっぱり紙の本がいいや、と思ったのでした。

Kindleにはお世話になった

本題とは少しズレますが、Kindleにはすごくお世話になりました。2年4ヶ月に及ぶ世界の旅をしながら、日本語の本が読めたのはすべてKindleさんのおかげです。

実に200冊以上を読み、今でも未読の本がKindleに入っているので、それらは今後も読んでいきたいとは思っています。

私の祖父

私の母はアメリカ人。その父である私の祖父も当然アメリカ人。そして祖父はアメリカ空軍に所属していました。

祖父の世代のアメリカ空軍といえば、悲しいことですが、第二次世界大戦を戦ったことを意味します。

私の視点から見ると「私の祖国である日本と戦ったのは自分の祖父だった」ということです。

祖父の視点からすると「自分が戦った日本という国に、娘が嫁いだ」ということ。

そういうきっかけもあり、第二次世界大戦についてはかなりの本を読みました。いろんな立場があり、いろんな論点があり、いろんな正義と悪が飛び交う、複雑怪奇な事件です。そこに「自分の祖父が日本を襲った」という事実が加わるのですから、一筋縄ではいきません。

祖父が残した紙の本と電子の本

そんな祖父が亡くなったとき、彼はたくさんの本を残しました。

最後の数年、足腰も悪く、車も運転できなかった祖父はKindleで本を読むようになっていました。目も悪かったようで、文字を拡大できることも大きなメリットだったようです。

だから残った本のほとんどはKindle。紙の本は祖父の祖父の世代から引き継いだレシピ本が少しだけ……。

この大量のKindle本と、高祖父母(祖父の祖父母)の時代から残るレシピ本の価値の違いを見たとき、「紙の本の方がどれだけいいか!」と思わざる得なかったのです。

そもそもKindleは本の相続を認めていませんしね……。

高祖父から残されたレシピ本の存在

高祖父母の時代から残されていたレシピというのは、その家族にだけはわかる付加価値がありました。

書き込みです。

想像してみてください。

自分の祖父母や高祖父母といった、先祖が何を食べていたか気になりませんか? どんなレシピで作ってきたのだろうか? と思いませんか?

ここ2世代くらいで、一気に西欧化して、料理の継承などがされなくなりましたが、3世代前、4世代前の人たちがどんなものを食べていたのだろうか? と私は気になります。

残されていたレシピ本には、それが読み解けるメモが書き込まれていました。

「この味付けだとお父さんにはしょっぱい」

とか

「砂糖を多めに」

とか、レシピのまま作るのではなく、そこに自分の家族が好む味付けがちょっと書き込まれている。これは紙の本だからこそ、残った奇跡の情報だと思うのです。

レシピだけではありません

自分の親、祖父母、高祖父母、と先祖がどういう本を読んでいたか、私は興味があります。

すべて読むというわけにはいかないでしょう。しかし、それが並ぶ本棚は見てみたいと思います。背表紙を見て、パラパラとめくって、その時代の空気を味わってみたいと思うのです。

残したいという気持ちもある

同じように、自分の本だって次の世代に残したい。全てである必要はない。本当に自分の血肉となった本は知って欲しい。

自分が死んで、いつか子どもが「お父ちゃんはどういう人だったんだ!?」と思ったとき、自分を作り上げた本棚を見てほしいと思うのです。

本棚ひとつ分が無理なら、10冊か20冊。これはという本を残したい。

それができない電子書籍は少し寂しいな、と思うのです。

掌を返すようですが……

でもKindleに感謝もしています。

祖父のことが大好きだったけど、日本を攻撃した人である、という葛藤と同じように、目が悪くて本を読むことができなくなってきた祖父が、最後まで読んでいられたのは、Kindleがあったから……。それがなければ、そもそも読むことさえ叶わなかったことでしょう。

感謝しつつ、でも不満もあって、なんとも歯切れが悪いのですが、結論を書いて締めくくります。

『これは』という本は紙で残しておこう

Kindleで買うのは読む権利。残す権利はありません。残したい本は紙で。

〜読書のノウハウ書きました〜

読書にまつわる13のノウハウ どうせ読むなら有意義に読もう!2

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