mixi時代の女ストーカー(第2回 電車がバレてあわあわ編)

【第1回 きっかけはラブレター編】より続きです。K子から駅前で怒鳴られるという一件で、対策を打ったわたしですが、転がり始めたボールは止まらないようでした。今日はバスでの出会いから一転、電車でのストーキングに発展したお話です……。

対策! バスに乗らない

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先日の駅前での出来事から、「バスに乗るからいけないんだ」という考えに至り、バスに乗るのをやめました。

駅までは自転車で15分程度。ならばバスに乗らずに自転車で通勤すればK子と会わずに済む。

「完璧だ!」

とわたしは意気揚々と自転車通勤を始めました。

最初の数日は意識的にバスの停留所を通らないようなルートで駅に向かっていました。だって、もし自転車通勤しているのがバレたら面倒だから……。

それでも3日ほどが過ぎて、気持ちに余裕が出てきた頃、「ちょっと停留所を見てみよう」と変な冒険心が出てきてしまいました。この変な冒険心というやつが、わたしの1番の反省です。

朝6時半。早めに家を出ます。まだ人は多くありません。

停留所にK子がいました。「マズいぞ」と思ってスピードを上げた瞬間にバレました。向こうは何も言いませんが、「あ、自転車で通勤してる!」と顔に書いてありました。

この3日間、6時半からバスの停留所でわたしを待っていたのかもしれない、と思うと恐ろしい思いがします。

待ち伏せ場所が駅に変わった

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そして、まともに頭が働く人ならきっとそうするであろう行動に彼女は出ました。

そう、待ち伏せ場所を駅に変えたのです。改札口がひとつしかない駅です。こんなに簡単に待ち伏せできる場所はありません。

翌日、彼女は駅の改札口で待っていました。思わず足が止まります。しかし彼女が乗る路線がわたしと違うことは確認済み(1.発端編参照)。駅で顔を見られるくらいなんでもない、と高をくくって、足早に彼女の前を通り過ぎることにしました。

K子はわたしに声をかけるわけでもなく、横目でわたしを見て、露骨に後ろからついてきます。

「ふん! どうせ路線が違うんだから、ついてきても意味ないぜ」

彼女はわたしの乗る路線のホームにまで降りてきます。

「乗るところまで見ようという魂胆か!?」

せいぜい電車に乗るところを見て、去って行くんだと思ってた……。しかし甘かった。

なんと彼女は同じ電車に乗ったのです。そしてこの日から10ヶ月、毎日のようにわたしと同じ電車に乗ってきました。そして30分ほど走った途中の駅で降りるのです。

彼女の路線とわたしの路線は途中まで同じ方角なのです。だから、途中までならこっちの路線でも通勤できる、と踏んだのでしょう。わたしが甘かった……。本当に甘かった。

電車の中に響き渡る声

「どうして無視するの!?」

東京に向かう電車の中でK子が軽い怒鳴り声をあげます。立っている人同士がしっかり触れ合う程度には混んでいる車内です。周囲数メートルの人たちがこちらを見て、

(なに? 痴話喧嘩ァ!?)

みたいな顔をします。

「やめてください」

毅然とした対応こそ、大人の対応! と心に決めてビシッと言い返し、次の駅で降りて別の車両に逃げました。すると、走り始めた車内をかき分けて彼女も同じ車両にやってきます。その様子は思わず笑ってしまうものでした。

だって想像してみてください。2車両くらい向こうから、満員電車をかき分けて、K子が向かってくるのです。乗客はみんな「ちょっと満員電車で移動するなよ」という顔付き。そして、わたしだけは知っている。「こいつはわたしのところに向かってきているのだ」という事実。人混みをモーゼのようにかき分けてくるK子!

「逃げないでよ」
「ついてこないでください」

そしてまた車両を移動するわたし。また追ってくるK子。そんなやりとりが続きました。

「お前は桃鉄のキングボンビーか!」と何度言いたくなったことか……。

本格的なストーキングはこうして始まりました

こうして彼女のストーキングが始まりました。電車もバレ、逃げても逃げてもついてくるK子。

わたしが割と平気でいられたのは、わたしが男だったから。そして会社でこのことを笑い飛ばしてくれる先輩たちがいたから。

ストーキングされるたびに、会社で「今日はこんなことがあった」と話し、先輩たちが笑いつつ、「こうしたほうがいい」「ああしたほうがいい」とアドバイスをくれます。

これ、女性だったら恐怖です。

というか、男のわたしでも本当は恐怖だったのです。彼女が電車の中でナイフでもだすんじゃないか、といつも彼女の一挙一動に気を張っていました。

次回は実際に電車の中で言われた言葉を!(第3回 浴びた言葉に目眩編)

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