2年の旅を通して行き着いた「仏教徒ですか?」への回答

わたしは2年4ヶ月かけて世界を一周しました。旅先で出会った人に何度も聞かれた「あなたは仏教徒ですか?」という質問。迷った末に行き着いたわたしなりの回答を紹介します。

旅しているといろんなコトを訊かれます

こんなことをよく訊かれます。これから旅する人はよーく考えてから出国するように。

「毎日くじら食べるの?」
「どうしてくじら殺すの?」
「日本の宗教は仏教だよね?」
「第二次世界大戦のことはどう思う?」
「天皇のことをどう思う?」
「みんな茶道やるの?」
「忍者/侍ってどうしてるの?」
「中国のことどう思う? (やっぱり嫌いなの? というニュアンス)」

ほかにもいっぱいあることでしょう。

で、いい機会なので一生懸命考えて答えるのですが、やっぱりうまく答えられない質問が出てきます。その1つが

「あなたは/日本人は仏教徒なの?」

という質問。

難しい質問なのです

日本でなら「無宗教」と答えて終わりですが、多くの国では良いイメージを持たれません。

それに「無宗教」という答えもなんかしっくりこない。お葬式だって、お盆だって、仏教的イベントです。「いただきます」という言葉だって命を頂くことへの感謝。仏教用語です。仏教の考え方って生活に密着し過ぎてて、それが仏教の考え方であることさえ忘れてる。

かといって「ぼくは仏教徒だ!」と胸を張って答えると、自分の中の嘘発見器がピーピー鳴ります。他の国の仏教徒のように家に仏像を置いて、毎日祈るようなことはしていない。ウソはつきたくない。

「(わたしは/日本人は)仏教徒じゃない」
「(わたしは/日本人は)仏教徒だよ」

どちらもしっくりこない。

だから真面目に考えました。

日本人は仏教的

いろんな人に訊かれ、答えに困っていたときにインドでヴィパッサナ瞑想の修行を受けました。これは仏陀が悟りを開くときに実践していた瞑想で、仏教の原点となっています。修行の中ではこの瞑想の背景にある考え方や哲学も教わりました。

10日かけて教わった内容ですが、誤解を恐れず、思いっきり短く書くと

「いつも心穏やかにして、波風立てず、静かに生きていきましょう」

そんなこと? って思いますよね。

こういう考え方って日本人としてはベースにあるから何も新しいことではないんです。若いときはそれに反発することもあるでしょう。だけど、その反発するっていう行為が、すでにこの考え方がベースにある証拠。

また先ほどいった「いただきます」を始め、次のような言葉はみな仏教用語(あるいは仏教的な考え方に基づく言葉)です。他にも山ほどあります。

  • 安心する
  • 精進する
  • 功徳を積む
  • 覚悟
  • 阿吽の呼吸

参考:生活の中の仏教語

「日本人は仏教徒である」とは言い切れませんが、「日本人の考え方のベースにあるものは仏教的である」と言い切ることはできそうです。

他の宗教との違い

さて、少し視点を変えて仏教と他の宗教の違いに目を向けてみましょう。

大きな違いは神の有無。仏教には神がいません。

仏は人が修行の末に辿り着いた境地であって、たとえばわたしでも真面目に修行に取り組めば辿り着ける可能性があります。

大事なことなので、もう1度いいますネ。

人は誰でも「真面目に修行の取り組めば」仏になれます。その修行で追求することこそ、突き詰めれば「いつも心穏やかにして、波風立てず、静かに生きていきましょう」という日本人のベースにある生き方そのものなんです。

言い方を変えれば「仏教の修行とは、心穏やかにするためのもの」と言ってもいいはず。

仏教とは神を信じるものではなく、穏やかに生きていくための修行のセットであり、生きていくための人生哲学のセットである。

だから日本における仏教は宗教であると言うより「生き方の規範である」と言ったほうがしっくりくる。つまり

仏教 = 哲学 ≠ 宗教

である、と。

あなたは仏教徒か? への回答

さて「あなたは仏教徒か?」に対する回答例を書いてみます。

「日本の仏教は宗教というより、生きていく上の哲学とか人生のお手本として捉えている人が多いんだ。他の仏教国みたいに仏教儀式を実践している人は少ないけど、仏教の考え方は、“仏教” という言葉を使わずとも生活に溶け込んでいて、みんな知らず知らずのうちに、仏教的な考え方を持っているんだ。だから君の思っている「仏教徒」とは違うかもしれないけど、日本文化そのものが仏教の上に成り立っているんだよ」

こんな感じの回答をしつつ、神がいないことや、日常的に使っている「いただきます」という言葉が仏教用語であることを話してあげると、ほとんどの人は「ああ、そういうことね」と納得してくれます。

日本人って「ぼくは仏教徒だ!」と宣言する場面がないし、そもそも「仏教徒だ!」と宣言することに抵抗がある。だから、もしあなたが、この記事の内容に共感してくれるなら「わたしは仏教を人生哲学と捉えているよ」と答えるのがいいと思う。

したり顔で「仏教とは」と書いてきましたが、仏教に興味があってすこし本を読んだ程度。詳しい人から補足があれば幸いです。下のTwitterボタンなどからお知らせください。

 

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