わたしはヤマトの配達員に幸せにしてもらった

箱根の某所に越してきまして、周りにスーパーがないことから、Amazonをフル活用していました。するとやってくるのがヤマトです。荷物を運ぶヤマトの配達員にわたしは幸せにしてもらったのです。


毎日届くAmazonの箱

最近、引っ越しまして、買い物が増えました。

「あれがない、これがない」

と、あれやこれが必要になります。近所にスーパーもなく、車も持っていなかったため、欲しいものはAmazon頼りという状況。

毎日Amazonから何かが届く日々が続きました。

「ごめんください! Amazonさんからお荷物です!」

笑顔で大きなAmazonの箱を抱える配達員のお兄さん。ニコッと笑い、まるで「あなたに会うためにやってきた」とでも言わんばかりのキラキラした目で、ニッコリしたAmazonの箱を手渡します。

「そういえば、毎日同じ人が届けてくれるな」

田舎だと配達員ってあんまり変わらないんですね。いつもAmazonの箱を抱えてやってくる彼を見て、なんだか申し訳なくって……

「毎日すいませんね」

と会釈すると

「もうドンドン注文してください! ぼくが運びますから!」

気持ちの良い言葉に、こちらも笑ってしまいました。胸の名札を見ると、名前はOさん。気持ちの良い青年でした。そして、わたしたちは彼がやってくるのを待つようになりました。

Oさんを待つ日々

来客なんてほとんどありませんから、やってくるのはもっぱら配達系の人たちだけ。

インターホンが鳴るたびに妻と2人で「Oさんかな!?」とワクワクしながら、玄関に向かいます。

それがOさん以外だと

「今日は違ったね〜」

と肩を落とし、それがOさんなら「やったOさんだ!」と盛り上がるようになりました(それくらい来客がないので、Oさんの存在がビックイベントだったのです)。

Oさんがくるたびに「雨ですね」「雪の中すいませんね」とひと言かけるようにしていましたが、その答えがいつも気持ちいい。

「お荷物、お届けできて光栄です!」

「それより、箱がちょっと濡れちゃって申し訳ありません!」(Amazonの箱に水滴がかかっただけ)

ってな具合。彼が荷物を届けてくれると、それだけで1日がハッピーになるのでした。

自転車で外出中

ある日のことです。

わたしが自転車で外出し、家に戻る途中、向こうからヤマトのトラックがやってきます。

(もしかしてOさんかな……)

なんとなく横目で見つつ、すれ違う瞬間にトラックが急ブレーキ。すーっと窓が開き、顔を出すOさん。いつも通りのニッコリ笑顔。

「こんにちは! 今、伺ったんですが不在だったもので、これから家にいらっしゃいますか!」
「いますよ」
「じゃ、別のお宅に伺ってから、すぐに行きます! お引き留めして申し訳ありません! すぐお届けしますんで!」

とにかく元気でステキなOさん。ほんとうに数分後にやってきて

「せっかくのお荷物だから、早く届けられてよかったです!」

彼は絶対に「面倒」とか「仕事だから」とかそういう気配を出しません。いつだって「届けたいから届けてるんです」というニュアンスなのです。

ある日、こなくなった

そんなOさんですが、最近こないのです。

別のお兄さんがヤマトからやってきます。新しいお兄さんもまったく問題なく、気持ちのいい青年ですが、Oさんには敵わない。

来なくなって気付くのです。

「ああ、Oさんのことなんにも知らないなぁ」

って……。なんか家に上げてお茶くらいご馳走してあげたいと思うくらい、楽しませてもらってたのになぁ。ここがアメリカだったら、どっさりチップをあげるんだけど……。

どんな仕事でも人を幸せにできる

安直な教訓ですが、どんな仕事でも人を幸せにすることはできます。Oさんが証拠です。

人を幸せにするために歌手になる必要もないし、作家になる必要もないし、政治家になる必要もない。荷物を届ける配達員は、その届け方ひとつで、荷物を受け取るすべての人を幸せにできるんです。

すごい仕事だ、と思いました。

で、どこかで、ヤマトの配達員をレビューする仕組みってないんですかね。

あったら、星5つでもなんでもあげますよ。社長賞とかあげたいくらい。社長じゃないですけど。それほどいい配達員でしたから、Oさんは。

こういう「実体験ストーリー系」の記事はこんなのも書いてますよ。

mixi時代の女ストーカー(第1回 きっかけはラブレター編)(全4回)

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