初心者のためのGTDの手引き——手順、参考サイト、書籍の紹介など

GTDをキーワードにこのサイトに来て頂く方が多いのにも関わらず、GTDを俯瞰し、全体を理解できるような記事を書いたことがありませんでした。そこで、今回は「これだけ読んでくれれば、GTDを始められる」という目標で記事を書いてみます。

GTDの全知識
GTDの全知識

GTDってなんだろう?

GTDというのはタスク管理手法です。日々の仕事を管理し、こなしていくための方法論を指しています。

しかし、GTDの哲学や目標は「上手にタスクを管理すること」ではありません(ここ、勘違いしている人が多い)。

GTDの目標は「仕事に夢中になれる精神状態を作ること」です。

ほら、仕事をしている途中で「あ! あれもやんなきゃ」とか「あの仕事はどうすればいいんだっけ?」なんて気が散ってしまう瞬間ってありませんか?

それを解決するためにGTDは2つのことを実現します。

  1. 頭の中から「気になること」を追い出し、仕事のためのスペースを作り、集中できるようにする
  2. 追い出した「気になること」に必要なときにアクセスできるようにする

この2つがセットになって、はじめてストレスフリーの仕事術が完成するのです。

こういう人に向いている

はっきり言って、誰にでも向いているんです。わたしとしては、みんながやってほしい。だけど、特に向いているという意味では、

《タスクが漏れることがある人》
「ちゃんと頼んだことをやれよ」と怒られたことがある人など。

《仕事を細切れに進める癖がある人》
仕事の途中で別の仕事が気になってしまう人。あれもこれも、ってパニックになってしまう人。

《1日の終わりに「今日はやりきった」と思えない人》
「まだやることがあるような気がする……」という人。明日の仕事が不安になる人。

上記に加え、タスク管理手法をまだ身につけていない人はぜひGTDを学んでみてください。

タスクの管理というのは、最も基礎的な仕事のスキルです。営業スキル、プレゼンスキルなどはみんな勉強するし、会社でも研修があるのに、なぜタスク管理だけは「勘」とか「工夫」に任せてしまうのでしょうか?

タスク管理こそ、方法論として身につけておくべきスキルです。

タスク管理にもいくつかの種類がありますが、その中でもGTDは多くの人が実践してきた方法論。沢山の人に使われることで、実践で鍛えられた手法だと言えます。

基本的なGTDを始めよう

本当はどんなウェブサイトで見るよりも、書籍そのものを見てほしいのですが(この記事の最後で紹介)、ちょっとお試しでやってみたいという人のために、手順をご紹介します。

準備:リストを作ろう

まず5つのリストを作ります。初めてやる人はツールを使わず、5枚の白紙の紙を用意してください(私は実際に妻と家のことを管理するためのGTDをやっていますが、白紙5枚でやっています)。

環境が変わったときに夫婦でGTDをやったらうまくいった話

そして5枚の白紙の紙に名前をつけます。

  • インボックス
  • プロジェクト
  • 次にやること
  • 連絡待ち
  • いつかやること/たぶんやること

これがGTDの中核です。これらの紙を運用することがGTDなんです。

このリストに加えて、以下のものを用意してください。

  • ポストイット
  • カレンダー(手帳についているものでOK)

これで、GTDに必要なものがすべて揃いました。簡単でしょ?

収集:気になることを《頭から追い出す》

冒頭で、GTDとは気になることを「頭から追い出す」ことと「それにアクセスできること」なんだ、と説明しました。

このセクションで説明するのは「頭から追い出す」にあたる作業です。

やることは簡単です。気になることをすべてポストイットに書き、『インボックス』に貼っていきます。

実際に人にGTDをコーチングしたときに、よく出る質問は「気になることってなに?」というもの。答えは「すべて」です。

迷ったら書く。絶対に書いてください。書いたものを捨てるのは簡単ですが、書かなかったものは頭の中でモヤモヤし続けます。

例を挙げていくので、同じようにドンドン書いてください。

  • プレゼン資料を作る
  • A社に確認の電話をする
  • 来週の有給休暇の件を上司に伝える
  • 有給休暇をとる日の仕事を同僚に頼む
  • 爪を切る
  • 週末に行く予定のレストランの予約
  • レストランまでの地図をプリント
  • (最近会ってなかった)Bくんと飲みたいな
  • いつかは田舎に住みたい
  • いまの髪型が気に入らない

ってな具合です。とはいえ、いきなりすべてが浮かんでくることはないと思います。そこで「トリガーリスト」と呼ばれるものがあります。これは名前の通り、見ているだけで「気になることをあぶり出せる」リストです。

GTDに役立つトリガーリスト

こちらのリストを読んでいくと、まだまだ気になることが浮かんでくるはず。協力してくれる人がいるなら、その人に読み上げてもらうとさらにベター。

もう1点アドバイスをするとすれば、仕事とプライベートを分けないこと。仕事に関する気になることを書き出しても、すっきり感は半分。プライベート、家族のこと、遊びのこと、すべて書き出して初めてうまくいきます。

この収集のフェーズはGTDの中でも1番大切な部分。1時間くらいかけて、みっちり書き出してください。

目安は100個。誰でもそれくらいは「気になること」があるものです。

処理・整理:頭から追い出した気になることを取り出せる形に

さて、あなたのインボックスには100個前後の気になることがあるはずです。

恐らくそれは混沌としたリストでしょう。「いつかは田舎に住みたい」という夢の話から、「爪を切る」という目の前の話までがひとつのリストになっています。

それを最初に用意した、ほかの4つのリストに分けていきます。

分け方は簡単。次のフローチャートに従って処理していきます。

はいどうぞ。と言いたいところですが、これが結構つまずくポイントだったりします。

いくつか例を挙げて、実際に処理をしてみるので、まずはフローに慣れてください。それから注意点を整理します。

例1「営業報告書を書く」

フローに従って書いていきます。

  1. 行動を起こす必要があります。
  2. 次のアクションは複雑ではありません。
  3. 2分以内にはできないです。
  4. 自分でやるべきことです。
  5. あとでやることではないので、《次にやること》リストに追加

例2「爪を切る」

  1. 行動を起こす必要があります。
  2. 次のアクションは複雑ではありません。
  3. 2分以内にできます → ポストイットは捨てて、その場で爪を切る。

例3「プレゼン資料を作る」

  1. 行動を起こす必要があります。
  2. 次のアクションは複雑です(売り込む商品の相談を上司にしなくちゃいけないし、お客さんの情報も集めないといけないし、プレゼン資料を作るための資料も集めないと……)。
  3. ポストイットを《プロジェクト》に貼ります

プロジェクトに移動したときは、その複雑な行動の最初のアクションを新しいポストイットに書きます。

今回で言えば、「上司にプレゼンについて相談」としましょう。

それをフローに従って、

  1. 2分以内にはできないです。
  2. 自分でやるべきことです。
  3. すぐにやることなので、《次にやること》リストに追加

処理における注意点

処理のフェーズには注意点がいくつかあります。

▶「次にやること」は直近1〜2週間以内にやることにする

それより先のことを《次にやること》に入れてしまうと、やることリストが肥大化して、やる気が失せます。そこで、1〜2週間より先にやることは《いつかやる》リストに入れます。

▶2つ以上のタスクがあるならすべて《プロジェクト》とする。

会社におけるプロジェクトという言葉とは意味が違います。例えば「母の日のプレゼントを贈る」というタスクもまず「プレゼントを選び」「郵送する」という2つに分けることができるので、《プロジェクト》にしてしまいましょう。

《次にやること》は必ず具体的な動詞に直しておく

あとで《次にやること》を見たときに、「これって何をするんだっけ」ってなったらダメなので、必ず具体的なアクションにしましょう。目安として次のような言い方を意識するといいです。

  • 〜について調べる
  • 〜を送る(メールする)
  • 〜に電話する
  • 〜を作る
  • 〜を買う

『英語を勉強する』は具体的ではないので、『英語の参考書を5ページ読む』など具体的なものにしましょう。

《カレンダー》に入れるのは、本当にその日でなければいけないことだけ

日付の決まっている仕事だけをカレンダーに入れます。「これは明後日やりたいな」という願望で入れてはいけません。例えば「来週月曜日に顧客にフォローアップの電話」などはカレンダーでいいでしょう。

ストレスフリーに仕事をしよう

さて、GTDはこれで第1段階を終えました。1〜2日仕事をしていきましょう。

仕事の仕方は簡単。《次にやること》にアナタがやるべき、すべてのことが書かれています。収集でサボってなければ、これがすべてです。

その中から1枚を選んで、仕事をしてください。終わったら、また1枚。そしてまた1枚……と。

仕事に魔法はありません。GTDをやったからといって、なにかわかりやすい奇跡が起きるわけではないんです。しかし、注意深い人は気付くはず、頭の中に邪魔者がいないという感覚に

いままで仕事をしている最中に「あ、明日までに本を返すんだった」とか「そういや、あの人に電話しなきゃナァ」なんて気泡のように、ランダムにいろんなことがちらついた経験はありませんか?

今回、徹底的に気になることを外に追い出したことで、そういうランダムな思いつきというのが減って「いまはこれをやればいい」と割り切れるようになったはず。その分仕事にも集中できるはずなので、がんばってください。

注意点が2点あります。

▶仕事の途中で新しいタスクが現れたらインボックスに貼る

仕事というのはエンドレスに増え続けるものです。顧客からの電話、上司からの依頼ってな具合に。それらは、これまでの手順と同じように、ポストイットに書き、インボックスに入れておいてください。

そして、時間があるときに『処理』をやります。

▶タスクが終わったとき、「次のタスクがないか?」を確認する

ほとんどの仕事は1つ終わると、次のタスクが生まれるものです。たとえば「上司にプレゼンの方向性について相談」というタスクを終えたら、「プレゼン資料を作る」というタスクが生まれるかもしれません。

だからポストイットを捨てる前に「で、次に何をするんだ?」と考えて、何かあればインボックスに入れましょう。

レビュー

これまでの作業でGTD環境は完璧に整っていますが、時間が経つと段々と崩れていきます。たとえば

  • 新しい「気になること」が頭に生まれている
  • 「いつかやること」の一部はそろそろ「次にやること」に入れるべきかも
  • 「インボックスにタスクが増えてる」

ってな具合に。

そこで2つのレビューを必ず実施してほしいのです。慣れればすぐに終わります。

  • 日次レビュー
  • 週次レビュー

日次レビュー

これは毎朝やるのがいいと思います。。

私は朝、仕事を始める前に日次レビューを済ませます。具体的にやることは……

  • 《インボックス》に何かあれば処理する(適切なリストに移動)
  • 《プロジェクト》にザッと目を通す
  • 《次にやること》にザッと目を通し、今日やりたいと思うことをリストの上の方に移動しておく

この3つめの「今日やりたいこと」というのは公式のGTDには現れない作業です。と言っても、特別な工夫でも何でもなく、《次にやること》の最初の方を空欄にしておいて、「今日やろうかな」と思うものをそこに集めておくくらい。

週次レビュー

週次レビューは日次レビューに加えて、次の2つのことをやります。

  • 《いつかやること》にザッと目を通し、「そろそろやるか」と思ったものを《プロジェクト》か《次にやること》へ移動する
  • 少し時間をとって、『収集』のプロセスをちゃんとやる。

2つ目が重要です。いつも何か思いついたら《インボックス》に入れるようにしていますが、それでも漏れが出てくるもの。そういう漏れを週次レビューでキャッチしていきます。

1時間もやりませんが、トリガーリストをサーッと見直す程度でしょうか。

GTDの手順はここまでです。

これまで説明したことでGTDは運用できるはず。

ここでは改めて、各リストについて説明を加えましょう。

▶ インボックス

まだ処理していない『気になること』がすべてここに入ります。ここには何を入れてもよくて、迷ったら入れることが大切です。

よくある悪い癖というのが、インボックスに入れずにいきなり《次にやること》にポストイットを貼ってしまうこと。

本人としては時間を節約したつもりかもしれませんが、冷静に処理する時間をとることが大切です。本当にそれ、今すぐやるべきことですか? そうでなければ《いつかやること》に入れるべきではないですか? あるいは誰かに頼むことできませんか?

▶ 次にやること

直近1〜2週間でやるべきこと「だけ」が入っているリストです。

ここまで真面目に読んできた人は「あれ? タスク管理って言っているのに、優先度とかつけないの?」なんて疑問を持っている人もいるかと思います。

しかし冷静に考えてほしいのです、あなたはちゃんと考えて「1〜2週間以内にやること」として、タスクをこのリストに入れてきました。だからすべてやらなければならないことですよね? そうでなければ《いつかやること》に入れるはず。

実際のところ、タスクの優先度という仕組みはうまくいきません。

優先度なんてころころ変わるし、今日は最高優先度のことが明日は3番目なんてこともあります。

だいたいやるって決めたらやらなければならないはずで、優先度をつける意味はなんでしょうか?

本当に大事なことは「どういう環境でやるべきか?」です。

例えば集中できるカフェでやりたいこと、すきま時間でやりたいこと、パソコンがあるときにやりたいこと、など分ける方が合理的です。そのためにGTDは『コンテキスト』という概念を用意しています。

上で説明してきた手順では煩雑になるので触れませんでしたが、ぜひ書籍などで読んでみてください。

▶ プロジェクト

いくつかのタスクで構成される仕事です。ちゃんとプロジェクトという単位で仕事を理解することはすごく大切で、これぞ「タスクが漏れない」ための大事な仕組みです。

ときどきプロジェクトを見返して、ちゃんと自分が進められているか確認しましょう。

▶ いつかやること/たぶんやること

「いつか」とか「たぶん」という言葉がついているから、「もしかしたらやらないこと」とか「夢」みたいに捉えている人もいるかもしれません。

その認識が間違えているとは思いませんが、《次にやること》が2週間以内にやることなのですから、こちらは「2週間後以降」にやることであって、やる可能性がすこぶる高いものも含まれることを理解してください。

中にはずーっとこのリストに居座り続けて、いつまでもやらないことも出てくるでしょう。そのままでもいいですし、「もうやらないんだ」と決めたら、いさぎよく捨ててもいいです。

▶連絡待ち

こちらはあまり説明していませんでしたが、簡単に言えば誰かに頼んだことが入ります。

部下に頼んだこと、妻に頼んだこと、そういうことを入れておけば、誰に何を頼んだかを忘れずに済みます。

参考書籍

“参考” だなんて語弊があって、これらがオリジナルの書籍です。

なので、できることならこれらを読んでほしいですね。上から順番に読んでいけばいいと思います。

参考サイト

わたしは書籍で覚えましたが、時々ウェブサイトで知識を補強したり、忘れてしまったことを調べることもあります。

以下のサイトなんかは、結構参考になると思います。

GTD歴6年目の私が、これ以上ないくらい丁寧に解説します

15分で分かるGTD – 仕事を成し遂げる技術の実用的ガイド

1歩上のGTD

GTDをやり始めると、なにかとつまずいたり、疑問に思うことが出てくるでしょう。

わたしももちろんそうでした。かれこれ7〜8年はやっていると思うのですが、その間、つまずいては起き上がりを繰り返してきた経験から、そういったノウハウを記事にまとめてきています。

今すぐではなくても、そのうち役に立つ知識でしょう。

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