プロが食えないからこそ、クリエイターは名アマチュアを目指すべきなのかもしれない

プロになっても食えない時代だからこそ、アマチュアにチャンスがある。胸を張って、名アマチュアを目指す時代になったのだな、と最近強く実感している。

プロを目指さない人はダメだと思ってた

わたしは学生時代にバンドをやっていた。

振り返ってみれば、その実力(技術・センス)はプロを目指せるものではなかったことは明らかだか、気持ちはいつもプロに向いていた。

この「気持ちがプロに向いている」ということは、一生懸命にやっている証であり、やっていることに対する礼儀だと思っていた気がする。

つまりこの場合だと、音楽に真面目に取り組んでいる証として、私はプロを目指していたように思う。

小学生の頃にやっていたサッカーだって同じ気持ちでやっていた。

だからどんなジャンルであれ、「ぼくはプロを目指してはいないんです」という人を見ると、少しイラッとした。困惑した、と言ってもいい。

「じゃあ、なんでやってるの?」

と心の中で言ってしまう自分がいた。

見渡せばアマチュアだらけの時代になった

いまクリエイターと呼ばれるジャンルを考えてみると、アマチュアで溢れかえっている。

ミュージシャン、絵描き、分筆家、写真家、映像作家など、作品数を見ればアマチュア作品の方がたくさん見つかるかもしれない、というくらいにアマチュアが多い。

例えばミュージシャン。いわゆるアマチュアバンドもたくさんいるし、そういうアマチュアバンドがネットを通じて活躍している。SoundCloudでステキな楽曲を配信し、YouTubeで配信し、ネット販売を通じてすこしは儲かっている。

バンドでなくても、作曲が得意な人がパソコンひとつで楽曲作成し、音楽素材として販売しているケースなど山ほどあるだろう。

分筆業などはその最たるもので、ブログのほとんどが、いわゆるアマチュア作家によるものだ。本人がそう認識しているかどうかは分からないが……。

アマチュアコンテンツがおもしろい

昔、アマチュアというと「プロに満たない人」を指していたと思う。

いまは少し違う。「プロにならないと決めた人」「食っていけないからプロを名乗っていない人」「プロにならなくて見てもらえるから満足している人」など、いろんなアマチュアがいる。

つまり実力が満たないからではなく、自分で決めてアマチュア活動している人が少なくない。例えば音楽で言えば、10万円もだせば、DTMと言って、パソコン上の作曲環境を揃えることができる(もっと安くできるかもしれない)。しかもそれがプロと比べて遜色ない環境だったりする。

普段はサラリーマンだけど、余暇は音楽制作に励んでいる、なんて人はごまんといる。しかも実力も機材もプロ顔負け。そのうえアマチュアの強みがある。

それは「商売ではない」ということ。売れなくてもいい、という割り切りだ。

大衆受けしないかも知れないけど、すごくニッチな嗜好の人には受ける、という作品を作ることができる。

30人くらいしか聞いてくれないかも知れない曲を作れる。50人に読んでもらえば良いという本を書ける。10人が喜んでもらえれば良い絵を描ける。

嗜好がバッチリあった人にはたまらない作品になるだろう。

だからアマチュア作品はおもしろい。

セミプロではなく、名アマチュアを目指す時代

セミプロという言葉がある。

(1)本職ではないが,技芸などが本職に準ずるもの。半玄人。「ゴルフは―の腕だ」
大辞林より

つまりプロみたいなアマチュアを指す言葉であり、褒め言葉だと言っていい。

しかし、いまの時代、クリエイターが目指すべきものはセミプロではなく、名アマチュアだと思う。

消費者の好みが細分化し、昔のように「大衆受け」というものが成立しなくなってきたこの時代、大衆受けする作品を制作し続けられるプロは多くない(いることはいるし、それはそれですごいこと!)。

するとプロが作る作品も、一部の嗜好の人に、少数だけ届けるアマチュア的なものになっていく。ミリオンセラーよりも、ニッチな5000人に確かに届ける姿勢を大切にする、と言えば分かりやすいと思う。

プロでさえ、アマチュア的作品作りをしているのだから、アマチュアは誇りを持って、名アマチュアを目指せば良い。

プロとは何か?

と、ここまで書いていて、プロを蔑ろにしてしまった感覚がある。それは誤解だ。

プロはもっと高みを目指す時代になると思っている。

時代を作る、時代を牽引する、と言えばいいだろうか?

前よりも少数のプロが、時代の最先端として、引っ張っていく。彼らが新しい技術を作り、新しいテクニックを生みだし、ジャンルを作り出す。

少数のプロと、大人数の名アマチュアが作品を作る時代になっているのではないだろうか?

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