「ひとりで出版社」系の本を5冊紹介(1億稼いだ事例も! )

個人で出版社を起業する人がいる。個人で本を出版してしまう人がいる。そういうことに興味があったので、関連書籍を5冊仕入れて、一気に読破した。ドラマティックだったり、実務的だったり、それぞれの本に、それぞれのおもしろさがあったので、全部紹介してみようと思う。

雑誌や出版社の起業が、最近のキーワード

ブログを購読して頂いている方はお気付きだろうが、最近わたしは雑誌か本を出版してみたい、と目論んでいる。

興味が多様化した今、インディ雑誌やZineが熱いのかもしれない

雑誌の魅力は瞬間を切り取った “刹那” のおもしろさ

小説を書いているくらいだから、「出版」にはもちろん昔から興味があるのだが、ここでいう「出版してみたい」という言葉には「雑誌・書籍というものをプロデュースしてみたい」という意味が込められている。

「雑誌・書籍をプロデュースする」とは、つまるところ出版社の業務だ。あまりよく知らない業界なので、情報を集めようと、個人が出版するに当たり参考になりそうな5冊の書籍を取り寄せた。

「5冊も買えば外れ本もあるかな」と思っていたのだが、5冊とも違ったベクトルでおもしろかったので、すべてをご紹介してみようと思う。

「自分で雑誌を作りたい」
「自分で出版してみたい」

などといった興味がある人は、ぜひ手に取ってみて欲しい。

“ひとり出版社”という働きかた

個人で出版社を立ち上げた10人をインタビューがまとめられている。その10人がそれぞれ違ったモチベーションや、違った境遇の中で出版社を立ち上げ、続けている姿が、しっかりとしたコントラストで浮き上がってくる。

もともと出版社で編集業務をやっていた人が独立するケースもあれば、まったく未経験で飛び込みで出版社を起業し、悪戦苦闘しながらも成功するケースもある。

ひとりで出版社を起業しようとするくらいだから、みんな「こういう本を世に広めたい」という志を持っていて、それがまた参考になる。

この本の中で好きな言葉や文章は色々あったが、ひとつ挙げるならこれだ。

発信の部分だけをメディアととらえがちですが、出版はあくまで媒介。まずは小さな声とか、いろいろな物事を感知しなければならない。
同書P107 ミシマ社

ここに「ひとり出版社」の意義や強みを感じた。大手が受信できないような “小さな声” を、個人の出版社なら受信することができる。それをしっかりキャッチして、発信する。それこそが、一人出版社の使命であり強みなのだ。

ひとり出版社「岩田書院」の舞台裏

なんとこの岩田書院はひとり出版社として起業し、10年続けている。ひとりでやってもちゃんと続けていけることを証明したと言える。

しかも出す本のジャンルは歴史・民族専門書のみ。あえて絞ったことで結果的に経営効率を上げている。

この本の形態は少し特殊だ。彼が起業したときから、書き続けている「新刊ニュース」のあとがき的な立ち位置にある「裏だより」をすべて並べて掲載しているのだ。この裏だよりというのが、まさに日記のようで、そのときの悩みや喜びが赤裸々に綴られている。

売上金額や原価など、隠すことなく書いていて、時々読者から「そんなこと明かさなくて良いよ」と突っ込まれたりしているのもおもしろい。

年商を1億円にまで上げていった、彼の努力の結晶が見られる本だ。

「ひとり出版社の経営事情」というビジネス的側面を知りたいなら、すごく良い本だと思う。ただし、「解説書」ではないので、自分で掘り下げて考え、理解する必要がある。

明日から出版社

こちらは『ひとり出版社「岩田書院」の舞台裏』に比べると、もっとドラマティックな面を重視した本だ。夏葉社を立ち上げた島田潤一郎の生き様に軸足が置かれている。

彼がなぜ出版社を起業しようと思ったか? どうして1冊目にその本を出版したのか? そういうセンチな話題が続く。

いわゆる経営的な話や、出版社としてのハウツーを知りたいならこの本ではない。が、著者の島田潤一郎氏の本に向き合う姿勢というのは、真摯で、妥協がなく、きっとこれから本を作りたいと思う人なら共感したり刺激を受けることだろうと思う。

クリエイターのためのZINEのはじめ方

ZINEをご存じだろうか? ZINEというのは思い切って言えば「手作りの冊子」だ。例えば自宅のプリンターで印刷し、切って、折って、ホッチキスで留める。そうやって作る雑誌のことをZINE(ジン)と呼ぶ。言うまでもなくMagazineのzineから来ている。

この超手作り雑誌が、実は一部で流行している。アメリカのスケーターシーンで流行し、それが他のジャンルに飛び火し、日本でもZINEを積極的に販売するお店がある。

そんなZINEの作り方を1から10まで書いてくれているのがこの本だ。完全手作りのZINEから、印刷などを印刷会社に任せるパターンなど、幅広く書いてくれている。

このZINEというものに、今わたしは注目している。クリエイターはZINEをうまく使えば、名刺代わりにすることもできるし、販売して利益を生むこともできる。

まさに商品と名刺の中間のようなものではないか、と思うのだ。

リトルプレスをつくる

こちらはZINEではなく、リトルプレスの作り方である。といってもZINEとリトルプレスを完全に区別するのは難しい。わたしなりに解釈すると、手作り感を売りにしているのがZINEで、個人が(比較的)ちゃんとした本を作るのがリトルプレスだろう。

この本では企画から営業・販売までリトルプレスのいろはが語られている。

デザイナーへの依頼の仕方とか、印刷の頼み方、といった未経験者が不安に思うことがちゃんと書かれていて、読んでいて「そうそう、それを知りたかった」と思うことが多かった。

また作り方だけに終始せず、実際に作った人のストーリー紹介もあり、その点も影響を受ける良い本だ。

ネットの時代だからこそ紙を

「ネットを使えばなんでもできる!」

それは凄く正しいと思う。オンラインマガジンだったら、誰でも、無料で、今日から始めることができる。構成・編集・印刷といっためんどくさいアレコレをすべてかっ飛ばして、コンテンツを発表できる。

「紙の本なんてオワコンだ」という声も聞かれるが、わたしはそうは思わない。

ネットが強いことはネットに残り、紙が強い部分は紙に残る。

「淘汰」というよりも、「住み分け」が起きているだけだと思う。

紙のおもしろさをわたしは信じている。

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