小説の登場人物のキャラクター設定には必ず理由がいる

登場人物には必ず性格や容姿などの設定がありますね。その性格も決してテキトーに決めちゃって良いものではないんです。かならずその性格になった理由とか、背景というものを考えてあげる必要があります。

作者は登場人物を愛してあげなきゃいけないし、愛してあげるためにはその人物のことを知ってあげなきゃいけないでしょ?

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小説において、“偶然” は許されない

よく「小説のストーリーに “偶然” は許されない」と言われます。

唯一の例外があって、主人公が不幸になる方向の偶然だけは許されることが多いんですね。読者は「主人公が偶然救われる」ことを許さないわけです。そりゃそうですよね。

だから「事実は小説よりも奇なり」という事件は山ほどあります。現実では偶然が許されるからです。「貧乏で困っていたら、100万円拾って、競馬にかけたら当たって、1億円になりました」なんて小説じゃ許されないけど、現実にはあったりするわけです。

今日お話したいのは「もうひとつの偶然が許されない要素」であるキャラクター設定についてです。

登場人物のキャラクター設定にも偶然はない

小説の登場人物にも当然設定があります。身長、体重といった見た目の要素から、内面的な「性格」とか「コンプレックス」とか「目標」なんかがあります。

http://kenemic.com/2016/06/04/howto_write_character_profile/

「性格なんて著者の自由に決めていいんでしょ?」なんて思っている人もいるかもしれませんが、そんな簡単ではありません。

小説においては説得力が大事です。

たとえば「すぐ人に殴りかかる男」という人物がいるなら、その理由が必要なんです。たとえば――

幼い頃に両親を亡くし、児童施設に預けられ、そこでは日常的にケンカがあり、そこで勝ち残ることが子どもの頃の目標だったから……

みたいに。

特にストーリー上重要な性格的要素ほど強い根拠を

人物の性格と言っても、その重要性は様々です。

その中でもストーリーを進める上で重要になる性格というのが必ずあると思います。

怒りっぽいがゆえに、いつもトラブルに巻き込まれる脇役の貞吉

という人物がいるなら、やっぱり怒りっぽい理由がいるわけです。

根拠があれば「しかたない」と思ってもらえる

なぜ性格に理由がいるのでしょうか?

読者の共感を得たいからです。もっと具体的にいえば「しかたないよね」と読者に思わせたいからです。

たとえばさっきの貞吉くん。怒りっぽくてすぐにトラブルに巻き込まれるわけですが、読者からすると「怒らなければトラブルに巻き込まれないで済むのに……」と思うわけです。もしかしたら「ストーリーを進めるために怒らせてるだけでしょ?」と冷めた目で見る人もいるかもしれません。

しかし彼が怒りっぽくなった根拠があると違います。たとえば――

幼い頃、親に身勝手な理由で捨てられ、それが原因で「自分勝手な人間」が大嫌いになった

みたいに。つまり、いつも怒っている相手は「自分勝手」な人間なわけです。その根拠が鮮やかに描けていれば、読者も「そんな貞吉なら怒っちゃうのも無理ないね」と思えるわけです。

理由をすべて小説に書く必要はない

さて、この「性格の根拠」について、毎回必ず小説に書き込む必要はありません。

必要なら書くし、不要なら書かない。あたりまえですね。ただこういった登場人物の背景を作者が知っていてあげることが大切です。作者にとっては登場人物は大事な友だちみたいなものです。その友だちのことを知らないまま書くわけにはいかないでしょう。

その背景を知っているかどうかで、表現上の細かいニュアンスが変わってきます。たとえば「幼い頃に親を亡くしたことが、性格を変えた原因」とするならば、端的に言って、親は死んでなければならないし、たとえば他の人が親と仲良くしているのを見て嫉妬するかもしれません。

そういう詳細が小説のリアリティを作り上げるのだと思います

登場人物を愛してあげましょう

じつはこれに尽きるのです。

作者だけは、すべての登場人物を愛してあげて欲しいんです。

嫌なやつにも、嫌になる理由があるわけで、ぜんぶひっくるめて「読者がお前を嫌いになっても、俺は嫌わないぞ」と思ってあげることが大切だと思います。

まぁ、勧善懲悪的なストーリーを書くならば、いっそ作者も嫌うくらい嫌なやつでもいいのでしょうが……。

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