旅をしながら小説を書くというのはそれなりに大変のことが多い。まず気に入った道具を持ち歩けない。小説書くのにどんな道具がいる? と思う人もいるかもしれないが、構想を練ったり、頭を整理するのにノートとペンや万年筆がいる。執筆の際にはパソコンと辞書が最低限必要だ(手書きが好きだけど、やっぱりパソコンが現実的)。そして小説を書くというのは思ったよりも資料が必要なもので、いざ書き始めると机の上、横が資料の山になることもある。

と書くと、結局必要なものはノート・ペン・パソコン・辞書・資料、とやっぱりたいした道具は必要ないと思われるかもしれない。ところが神経を使う作業だけに細かい小道具の使用感の良さが作業の効率性しかり、創造性を高めてくれると思うのだ。なんとかは筆を選ばず、とは言うが、実際には気に入った筆の方が気持ちよく創作できたはずだ。

ところが旅をしながら、という条件がつくと、いろんなものを持ち歩けない。辞書は無理。ノートは持ってるけど、いつもテーブルがあるとも限らず、かえって邪魔。資料なんて持ち歩けないどころか、旅先じゃ買うこともできない。

というわけで、目指すところはパソコン1つで書けるようにすること、に尽きる。

同じような境遇に身を置く人が多いのかは分からないが、今の時代ブログなど小説以外の文章を書きながら旅をする人もいるだろうから、私なりのノウハウを共有することも意味があるだろうと思う。これから数回の投稿でどういうソフトウェアをどういう形で使っているのかを説明したいと思う。

その第一回として、今回はともかく執筆時に使うアプリを一覧にして詳細は次回以降に回そう。

  • パソコン(Mac OSX - Macbook Air)
    • Evernote
    • Scapple
    • Scrivener
    • iText Pro
    • ATOK
  • iPod Touch(iPhoneと同等だと思っていい)
    • 大辞林
    • 角川類語新辞典
    • iText Pad
    • ATOK Pad

どれも有名なものばかりなので、気になる人は調べてみるとすぐに使い方も分かるだろう。私の連載ではマニュアル的な意味での使い方は紹介せず、私がどのように活用しているか、という視点で紹介する。

<旅する作家の道具箱>連載の予定は……

第2回 Evernoteで資料から構想まで
第3回 Scappleで構想を練る
第4回 ScrivenerとiText Pro(短編と長編での執筆手順の違い)
第5回 執筆の小道具ATOKを極める
第6回 iPhone/iPod Touchは良い補助道具

という感じで進めていく予定だ。内容、タイトル、順序など、書きながら変わっていくかもしれないが、許して欲しい。また「私はこう使っている」という情報があったら教えてくれると他の人のためにもなるかもしれない。

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自分が小説を書く上でどうしても避けられないというか、無視できない時代というのが「昭和」だ。昭和を舞台にしているわけではないし、特別昭和を売、今の時代――特に今の大人を描く上で昭和の時代感ってのは凄く重要だと思う。

何しろその大人が過ごしてきた幼少期は昭和だし、その親だって昭和の大人だ。平成の前は昭和であって、昭和からの変化こそが平成を平成たらしめるわけだ。平成を舞台にしていても、昭和から逃げることはできない。

というわけで、常日頃「昭和」というキーワードに対しては敏感でありたいと思ってはいるのだけれど、外国を旅をしているとそもそも昭和どころか、日本の感覚からも遠ざかる。また、そもそも昭和について体系的に勉強したことがなかったな、と思い知るに至り、この本を読んだ。

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昭和史 1926-1945
平凡社

この本は全体的に口語体で書かれており、存分に著者の主義主張を交えながら書いているのだが、それがかえってわかりやすさを生んでいる。ともかく面白く書かれているので、これを読んでから、他の本を読んでみると読みやすいだろうと思う。

圧倒的に政治・軍事といった面から書かれており、そのときの庶民生活などは読み取りにくい。遙か上空から大局的に捉えたような書き方になっている。私の場合は小説を書くうえでの勉強ごとだと思っているので、この大局的な捉え方と地に足据えた庶民感覚の両方を知りたいと思うに至った。

この庶民感覚が感じ取れる資料を探さないと。

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タイのバンコクから1時間半ほど北上した場所へバイクでやってきた。知人のご家族の家がここにあり、そこにお世話になるためだ。ここ数日滞在していたカオサン通りに比べればはるかに静かで快適な場所で、外出したくなくなるほど居心地が良い。

さて、なぜ自分は電子書籍を出版したのか。バイクで走りながら、改めて考えてみた。3つ理由があるので、挙げながら説明してみよう。

客観的な意見を聞いてみたい

私は新鷹会という小説の勉強会に所属し、会社員として働きながら、勉強会で修行している(もちろん旅に出てからは行けてない)。そこでは自分で書いた作品を現役の作家の方に批評してもらうことができる。

今回電子書籍を出してみたいという1つの動機はプロじゃない、普通の読者がどう思うのか、ということを知りたかったことにある。今回無料キャンペーンを実施して、多くの人が購入してくれたので、今後そういったフィードバックが返ってくるのを期待している。

名刺代わりになる作品を公開したい

周りに「自分は小説を書いている」と言ったところで、一般の人が買える範囲に小説が売られていないと説得力がない。今回の出版を期に「ここで買えるよ」と伝えられるのが嬉しい。曲がりなりにも「私は作家です」と自己紹介できるようになるというメリットもある(半分冗談で半分本気だ)。

電子書籍を試してみたい

さて、実はある作家と「電子書籍の可能性」について話をしたことがある。多様な意見が飛び交う中、私にせよ、相手の方にせよ「可能性を感じるから活用してみたい」という意見は一致していた。しかし可能性の話ばかりで、なかなか地に足のついたアイディアや核心が掴めないのはひとえに試したことがないからだと思う。

そこで今回試してみたことを将来何かに活かせるのではないか、と期待している。

漫画を電子書籍で売るためのノウハウなどは割と見かけるのだが、小説となると意外と情報が少ない。せっかくだから、今後の自作の売れ行きや活動をこのブログで紹介したいと思う。

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旅をしていると刺激が多い。その刺激はもちろん執筆活動に対しての刺激でもある。だから、書くことに事欠かないとも言える。

ところが書くための環境というのはなかなか難しい。何日も没頭して、誰の邪魔も入らない場所で静かに取り組める環境なんてまずない。最近はバンコクにいるのだが、ホテル1階の飲食スペース(ロビーのような場所)で書いている。周りはツアー客でごった返し、時にはパーティーのように大騒ぎの中書かなくてはいけない。

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最初、こういう環境で書くことに慣れなかった。ところがこうして長くそういう環境にいると、騒がしい中、または細切れの時間の中で書くことに慣れてくる。

これに慣れてきた時、旅する作家として活動することに対して確信を抱いたように思う。

著書「父の筆跡・秋明菊の花びら、ほか」もどうぞ

このたび、Amazon Kindleストアより、自著「父の筆跡・秋明菊の花びら、ほか」を発売始めました。

家族を舞台にした4編の短編小説です。過去書いたもの、割と最近のものと混ざってはいますが、どれも簡潔で読みやすい物語になるよう気をつけています。普段小説を読み慣れない人でも読みやすいのではないでしょうか?

通常価格99円としていますが、10月14日17時までは無料キャンペーンとしています。どうぞこの機会にダウンロードして頂ければと思います。


内容紹介

家族関係をテーマにした4編の短編小説集。父が残した万年筆を元に、父の痕跡を探す息子の物語を描いた掲題作「父の筆跡」。自分の夢と現実の間に挟まれ、妻に嘘をつく夫と、嘘につきあわされる息子の葛藤を描いた「ピエロだった」。突然祖父が立ち上がり、狂ったように語り始める戦争と家族の物語「一通の手紙」。仕事の第一線にいることと家族の軸となることを誇りとする夫が、視力と共に両方を失うという不幸にどう向き合うのかを描いた「秋明菊の花びら」。